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【つくらずしてつくる ー キャリアパスの軸となる共同実験】

現在の私です

正木 千尋さん(学生時代に「CORE」所属 / 伊豆大島共同打上実験運営に参加)

私は 2018 年に大学院を修了、航空会社の技術系として入社し、整備士として働いて 4 年目になります。整備現業の仕事を経験した後は整備現業のサポート(整備計画、 メーカーとの仲介等々)を行ったり、ゆくゆくは新事業の立ち上げや、現業出身とし ての経験を生かして広報活動に関わりたいと考えています。
キャリアパスを考えるベースや、会社での立ち振る舞いには、共同実験での経験が大きく影響しています。共同実験に携わっていなければ全く違う会社を選び、私は全く違う人間だったでしょう。今の私を形作ってくれた経験について、少しご紹介します。

理学部在籍ながら、ものづくりに興味を持ちロケットサークルを探したのは学部2年の時。 大学には工学部もなかったため、思い切って CORE(Challengers of Rocket Engineering)というインカレサークルの 機体班に入りました。
CORE では、年に3回(8月能代、11 月・3 月伊豆大島)ロケットを打上げる機会があり、その度にチーム編成・ ミッション制定をし、ロケット開発をしていました。ロケット初心者だった私は、見学者から始まり、機体班班員、 機体班班長を経て、PM(プロジェクトマネージャー)、と開発者からマネジメントをする立場まで、ひとつひとつ 経験させてもらいました。当時、プロジェクトマネジメントなんて大層なことを自分にできるだろうか、と弱気でし たが、今となってはこのチャレンジが大きく私を成長させてくれたと感じています。
PM の仕事内容は、端的に言うと方針決定と進捗確認の音頭取りですが、一部かみ砕くと、メンバーの「やってみた いこと」、「勉強したいこと」、「伸ばしたいスキル」をくみ取り、時間と費用の制約の中で、ミッション達成のために 皆のモチベーションを保てる最適解を決断し、遂行できる環境を確保する、また進捗に滞りや変更がある際は、他メ ンバーの状況を見ながら新しいプランを提案する、といったものがあります。部分最適!全体最適!責任の所在の明 確化!なんて言葉の飛び交う日々を、当時「会社の縮図なのかもしれない」とフンワリ思っていましたが、その通り で、今も考え方のベースは変わりません。

学部 4 年で CORE を卒業した後は、「伊豆大島共同打上実験」の運営を行いました。
ロケットは作っただけではもちろん打ち上げられず、対外的には打上げ場所の許可、上空使用の許可、打ち上げる ランチャ(発射台)の準備、地元の方の理解と協力等が必要となり、加えて各学生参加団体との調整も必要です。 それは調整の連続でした。CORE よりもまた広い範囲で音頭取りをしているのが、共同実験の運営委員なのです。 運営委員2年目、私は共同実験の継続的な実施を目的として「広報班」を立ち上げました。共同実験は島の方々の 全面協力のもと行われていたため、より島民の方へも周知し、また何かしらのリターンをし、実験を通して島を PR することで、実験への理解を深めていただき、良好な関係を維持したいという想いからです。そのため初年度には、 HP の立ち上げ、SNS 運用、島内広報誌への掲載と見学受け入れの体制の整備、ポスター・のぼりの作成、コンテスト の実施、島内子供たちへのロケット教室、、、と、思いつく限りのことを行いました。

当時の写真

「ポスターに企業のロゴを一つ載せさせていただくのに、こんなにやり取りが必要だなんて!」
「ひとつ新たなイベントをするのに、趣旨説明から報告書まで、こんなに人の協力が必要だなんて!」
と、数々の気づきの中、

「広報という一見ロケット製作とは大きく離れた場所で、こんなにも現場経験が活きるだなんて!」

という発見が一番大きかったです。現場の状況を知っていると、最適な魅せ方がわかるのです。この経験から、 「自分の好きなことを知ってもらうこと」が大好きな私にとって、“つくらずしてつくる” 広報って天職なのでは?と 思ったのが、現職につながっています。

今でも自分は何がしたかったのかを振り返るとすぐにこの記憶が蘇り、モチベーションを維持できること、これは何よりの強みです。また最初に立ち振る舞い、と書いた通り、例えば今でも、社内でコミュニケーションをとるときに、相手の立場で考えて自分なりに回答ができます。これは、「会社の縮図」を経験したおかげと思います。会社でなにか新しいことを提案し遂行することはもちろん大変ですが、臆せずに実現への道筋を立てることもできます。

今この文章に目を通してくれているということは、学生生活で、一本筋を通したい、決断力を高めたい、論理的思考力を身に着けたい・・・何か自分に物足りなさを感じているのかもしれません。

私も、全てはインカレサークルにひとり乗り込んだことから始まりました。 ぜひ、一歩踏み出してみてください。10 年後の自分に大きな変化があるかもしれません。

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